夏休みは親子で美術館へ|子どもの感性を育てる「教えない」モンテッソーリ流の楽しみ方

夏休みは親子で美術館へ|子どもの感性を育てる「教えない」モンテッソーリ流の楽しみ方

夏休み、あんまり暑くて「今日はどこへ行こう」と頭を悩ませる日、ありませんか。
公園は暑すぎるし、家にこもるのもなんだかもったいない。

そんな日にこそ、おすすめしたい場所があります。
それは、美術館です。
涼しくて快適なだけではありません。
実は美術館は、子どもの感性をぐんと育ててくれる、とびきりの学びの場なのです。

この記事では、モンテッソーリ教育の視点から、親子で美術館を楽しむコツをお伝えします。
鍵になるのは、親が「教えない」こと。
読み終わるころには、次の休みに子どもの手を引いて出かけたくなっているはずです。

書いているのは、フランスで3年間モンテッソーリ教育を学び、木製知育玩具ストア「かち旅」を営む、双子の父のぐっちです。

親の仕事は、「教えること」ではありません

美術館というと、つい「この絵はね」「これは有名な画家でね」と説明したくなります。
でも、モンテッソーリ教育では、その反対のことを大切にします。

モンテッソーリには「子どもに従う」という有名な言葉があります。
大人が先回りして教えるのではなく、子どもが今、何に心を動かされているのかをそばで静かに観察する。
この「観察」こそが、大人のいちばん大切な仕事だと考えるのです。

子どもは、大人が思うよりずっと豊かに、自分の目で世界を見ています。
その邪魔をせず、後ろからそっと見守る。美術館は、その練習にぴったりの場所です。

みおちゃんが立ち止まった、暗い絵の前で

先日、おうちモンテのサロンで、ナオさん(仮名)というお母さんから、こんなお話をうかがいました。

真夏のある日、あまりの暑さに、もうすぐ4歳になるみおちゃん(仮名)を連れて美術館へ出かけたそうです。
館内には、明るくて華やかな絵がたくさん。
ところが、みおちゃんはそれらをすうっと素通りして、ある一枚の前でぴたりと足を止めました。

それは、暗い色でぬられた、こわい顔の生きものの絵でした。
ナオさんが「こわくない?」と聞くと、みおちゃんはこう言ったそうです。
「この子、さみしいのかな」。
そして、こう続けました。
「だっこしたら、笑うかな」。

ナオさんは、はっとしたと言います。
大人が「こわい絵」としか見なかったものの奥に、みおちゃんは「さみしさ」という心を見ていた。
見た目ではなく、その奥にあるものを、まっすぐに感じ取っていたのです。

このお話を聞いて、私も、もう20年以上前のことになりますが、双子がまだ小さかった頃を思い出しました。
子どもは本当に、大人が見落としているものを、いともかんたんに見つけてしまう。
教えなくても、感じる力を、もともと持っているのですね。

美術館は、子どもに「世界のぜんぶ」を見せてくれる

モンテッソーリ教育には、「コスミック教育」という考え方があります。
少しむずかしい言葉ですが、かんたんに言えば、この世界のすべてはつながっていて、子どもはその大きな世界の一員なのだ、という壮大な視点です。

美術館には、遠い国の風景、昔の人々の暮らし、見たこともない色や形が、ぎゅっと詰まっています。
子どもはそこで、「世界にはこんなにいろいろなものがあるんだ」という感嘆と驚きに出会います。

この「驚く」という体験こそが、感性の土台になります。
正解を覚えることではなく、心が動くこと。
美術館は、それを自然に引き出してくれる場所なのです。

美術館で、親ができる4つのこと

では、実際にどう関わればいいのでしょうか。
難しいことは要りません。
次の4つを意識するだけで、子どもの時間はぐっと豊かになります。

教えずに、問いかける

解説するかわりに、問いかけてみましょう。
美術教育の世界で「対話型鑑賞」と呼ばれる方法で、3つの問いがよく使われます。

ひとつ、「この絵の中で、何が起きているのかな」
ふたつ、「どこを見て、そう思ったのかな」
みっつ、「ほかに、何か見つかる?」

答えに正解はありません。
子どもが自由に想像し、それを言葉にする。
その過程そのものが、考える力と感じる力を育てます。

同じ高さで、いっしょに見る

大人の目線と子どもの目線は驚くほど違います。
ときどきしゃがみ込んで、子どもと同じ高さから絵を見上げてみてください。

同じものを、同じ角度から見る。
それだけで、子どもは「お母さんも、お父さんも、わたしの世界を見てくれている」と感じます。
この安心感が、もっと見たい、もっと感じたいという意欲につながります。

正解を求めず、発見を受けとめる

子どもが「この絵、おいしそう」なんて、大人には思いもよらないことを言うことがあります。
そんなとき、「ちがうよ」と否定しないでください。

「へえ、おいしそうに見えるんだね」と、まずはその発見を受けとめる。
子どもにとって、自分の感じたことを否定されない経験は、何よりの自信になります。

涼しい学びの場として、気軽に使う

美術館は、夏の避暑先としても優秀です。冷房が効いていて、静かで、ゆっくり過ごせる。
近年は、こうした施設を暑さをしのぐ場所として活用する動きも広がっています。

「小さい子を連れて行っていいのかな」とためらう必要もありません。
ベビーカーで入れる時間帯や未就学児向けのプログラムを用意している館も増えています。
事前に調べて、気軽に出かけてみましょう。

子どもの感性は、家庭でも育っていく

美術館での体験は特別ですが、感性を育てる関わりは、毎日のおうちの中でも続けられます。

大切なのは、子どものまわりに「本物の美しさ」を置いてあげること。
安っぽいものに囲まれるのではなく、手ざわりのよい素材や美しい色や形にふだんから触れていると、子どもの感じる力は静かに育っていきます。
海外の研究でも、芸術や美しいものに触れる体験が、子どもの集中力や感受性を育てると報告されています。

かち旅では、モンテッソーリ教育の理念をもとに、木の温もりや美しい形にこだわった知育玩具を取りそろえています。
子どもが手に取り、じっと見つめ、夢中になる。
その時間が、感性の土台をつくります。

→ かち旅の商品一覧を見る
https://kachitabi.com

この記事のまとめ

夏休み、親子で美術館を楽しむために、親ができる4つのこと。

ひとつ。教えずに、問いかける。「何が起きているのかな」「どこを見てそう思ったの」。

ふたつ。同じ高さで、いっしょに見る。

みっつ。正解を求めず、子どもの発見をそのまま受けとめる。

よっつ。涼しい学びの場として、気軽に出かける。

親の仕事は、教えることではありません。
子どもが見ている世界に驚いて、敬意をもって、後ろからそっと見せてもらうこと。
その積み重ねが感性を育てます。
子どもの足が止まった場所に、いっしょに立ち止まってみてください。
そこには、大人の知らない世界が広がっています。

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「この子の、この行動はどういう意味だろう」と感じたとき、そっと寄り添える存在でありたいと思っています。

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