夏休みが憂鬱な親へ。「何かさせなきゃ」を手放す5つの言葉

夏休みが憂鬱な親へ。「何かさせなきゃ」を手放す5つの言葉

もうすぐ、夏休みです。

「正直に言うと、夏休みが、ちょっと憂鬱なんです」

そんな声が、私のところには毎年たくさん届きます。
生活リズムが崩れる、お昼ごはんを毎日考える、宿題の進み具合が気になる、そしてずっと子どもと一緒で、自分の時間がない。

実は、夏休みに「夏うつ」を感じる母親は、84.7%にのぼるそうです(キッズライン調査)。
8割を超える親が、同じ気持ちで夏を迎えています。
あなただけではありません。

この記事では、モンテッソーリ教育の視点から、夏休みを前にした親子に贈る5つの言葉を紹介します。
「こうしなさい」という工夫ではなく、「こう思っていいんですよ」という心をほどく言葉です。

この夏、いちばん大切にしてほしいのはたったひとつ。
「何かさせなきゃ」を、手放すこと。あちこち出かけなくていいのです。


夏休みが憂鬱なのは、あなただけではない

5つの言葉に入る前に、まず大切な前提を共有させてください。
「夏休みが憂鬱」という気持ちは、決して特別なものではありません。

データ1:夏うつを感じる母親は84.7%

ある調査では、夏休みに「夏うつ」を感じる母親が84.7%にのぼると報告されています。

データ2:1人きりの時間がほしいママは92.1%

別の調査では、92.1%のママが「1人きりで過ごす夏休みも、ほしい」と答えています。

データ3:生活リズムの悩みは8割

夏休み中の生活リズムの乱れに悩む親は、約8割というデータもあります。

つまり、夏休みが憂鬱なのは、あなたが弱いからでも、ダメな親だからでもありません。
8割以上の親が、同じ思いで夏を迎えています。

「私だけ疲れているのかな」という気持ちは、ここでひとつ、手放してください。


夏休み前後の親子に贈りたい、5つの言葉

ここからが本題です。5つの言葉を、贈り先別に紹介します。

【親自身へ】「『何かさせなきゃ』を、手放していい」

夏休みになると、「何かさせなきゃ」という圧が、最大になります。ドリル、プール、自由研究、習い事の夏期講習。予定表が真っ白だと、なんだか親として失格な気がしてくる。

でも、ある夏休みのストレスの調査が、はっとする事実を教えてくれます。親のストレスの正体は、忙しさそのものより、「理想と現実のギャップ」だというのです。

「充実した夏にしなきゃ」という理想こそが、親を苦しめている。

イギリスの教育心理学者リン・フライさんは、こう言います。

「親が、子どもの自由時間をすべて埋めてしまったら、子どもは自分で時間を満たす方法を、一生学べません」

予定を埋めることは、愛情ではありません。余白を贈ることも、また、愛情です。

夏休みの予定表に、勇気を出して「何も書かない日」を作ってみてください。その空白は、罪悪感の対象ではなく、子どもへの贈り物です。

【親自身へ】「完璧な夏休みより、忘れられない夏休みを」

SNSを開くと、「映える夏体験」があふれています。
海、花火、キャンプ、テーマパーク。
それを見て「うちは、何もしてない」と焦る。
その気持ち、痛いほどわかります。

でも、思い出してみてください。
子どもが大人になって覚えているのは、完璧な計画の完成度ではありません。
「あの夏の、お母さん(お父さん)の笑顔」です。

フランスで子育てをした髙崎順子さんは、現地で学んだ休み方の極意をこう表現しています。

「自分は、休んでいい人間なんだ」

そう、意識を切り替えることが大切。
完璧な夏休みを演出しようとするほど、親は疲れ、笑顔が消えていきます。

それより、「今年の夏は、60点でOK」と、自分に宣言してしまいましょう。
「映える夏」のSNSは、1週間ミュートしてもいい。

そして、92.1%のママが願っている「1人の時間」を、この夏1回でいいから予約してください。
あなたが笑っていることが、子どもにとっての、いちばんの夏の思い出になります。

【子どもへ】「退屈は、創造の入り口」

「ひまー」「たいくつー」

夏休み、子どもがこう言うと、親はつい、何かを与えたくなります。
動画、おもちゃ、新しい遊び。
でも、ちょっとだけ、待ってみてください。

その「退屈」こそ、子どもが自分で遊びを生み出す瞬間の入り口なのです。

イギリスの研究者テリーザ・ベルトンさんは、こう述べています。

「退屈は、内的な刺激を育てます。それが、本当の創造性を可能にするのです」

退屈した子どもは、やがて絵を描き始めます。
工作を始めます。物語を作り始めます。
親がその隙間をすべて埋めてしまったら、その芽は出てきません。

モンテッソーリ教育も、同じことを大切にします。
自由が保障された環境でこそ、子どもは自発的に活動を選び、自分を育てていくのです。

「ひま」と言える夏は、子どもが自分の世界を作るための贈り物です。
もし「退屈〜」と言われたら、こう返してみてください。

「何ができるか、自分で見つけてごらん」

【親子へ】「日常の家事こそ、最高の夏の学び」

遠くに連れて行かなくても、特別な体験をさせなくても。
子どもの学びの場は、毎日の暮らしの中に、いくらでもあります。

マリア・モンテッソーリは、こんな言葉を残しています。

「手は、人間の知性の道具である」

料理、洗濯、掃除、買い物。こうした「日常生活の練習」を、モンテッソーリ教育は子どもの自立を育てる教育の本質だと考えます。

夏休みは、子どもが家にいる時間がぐっと長くなる季節。
つまり、日常の家事に、親子で取り組める時間が増えるということです。

立派な教具よりも、毎日の日常生活。
台所が、いちばんの教室になります。

お米をとぐ、野菜を洗う、卵を割る、テーブルを拭く。
「手伝って」ではなく、「一緒にやろう」と誘ってみてください。

こぼしても、割っても、それは失敗ではなく、学びの一部です。

ここでひとつだけ、モンテッソーリ的に大切な視点を。
子どもに与える道具は、できれば「子どもサイズの本物」を選んでください。
プラスチックのおもちゃの包丁ではなく、子どもの手に合った小さな本物の包丁。
重さも、感触も、結果も、すべて本物。
子どもは「本物だから集中する」のです。

【親子へ】「どこか遠くより、一緒にいる時間」

最後の言葉です。
これは、私自身がいちばん伝えたいことかもしれません。

「子どもを、どこか遠くに連れて行ってあげなきゃ」

そう思っている親御さんに、お伝えしたいのです。
子どもが本当に求めているのは、目的地ではありません。
「親が隣にいてくれること」です。

アメリカの精神科医アーマンド・ニコリは、こう言いました。

「関係にとっての時間は、体にとっての酸素のようなもの。量の時間の中でしか、質の瞬間は訪れない」

「質の高い時間」を、特別なイベントで作ろうとしなくていい。
研究は、日常の何気ない瞬間こそが、いちばん深いつながりの土台になると教えてくれます。

ヨーロッパの家族は、海辺やサマーハウスで、ただ「何もしない時間」を味わっていました。
本を読む、子どもと砂を触る、夕日を眺める。
宿泊先も、リゾートホテルなんてもってのほかで、友人や親戚の家に滞在するのです。
お金を使わなくても、バカンスを楽しむのです。

北欧の人たちは、夏の過ごし方をこう表現するそうです。

「何もしないことを、する」

特別なことは、何もない。
でも、それが、いちばんの充電になる。

そのとき私は思いました。
日本の親御さんにも、こんな夏を味わっていただきたい、と。

子どもが大人になって覚えているのは、行き先ではなく、隣にいてくれたあなたです。


5つの言葉に共通する原則

5つの言葉には、共通する3つの原則があります。

共通原則1:「させる」のではなく「ある」を選ぶ(活動を足すのではなく、時間を共にする)
共通原則2:完璧主義を疑い、60点でOKと自分に宣言する
共通原則3:日常の中に学びと豊かさはすべて揃っている(遠くに行かなくていい)

この3つを意識するだけで、夏休みが少しだけ軽くなります。


家庭の中に「本物の道具」と「自分でできた」を

5つの言葉と並んで、もうひとつ大切なのが、家庭の中に「子どもサイズの本物の道具」を揃えることです。

言葉④で触れたとおり、モンテッソーリ教育では「日常生活の練習」が子どもの自立を育てます。そして子どもが本当に集中するのは、プラスチックのおもちゃではなく、子どもサイズの本物の道具に触れたときです。

かち旅では、モンテッソーリ教育の理念をもとに、子どもの「自分でできた」を引き出す木製知育玩具を取り揃えています。台所で、リビングで、子どもが「自分のペース」で取り組める道具が手元にあると、夏休みの「ひま」が、そのまま学びの時間に変わります。

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まとめ 夏休み前後の親子に贈る5つの言葉

言葉1【親自身へ】:「何かさせなきゃ」を、手放していい
言葉2【親自身へ】:完璧な夏休みより、忘れられない夏休みを
言葉3【子どもへ】:退屈は、創造の入り口
言葉4【親子へ】:日常の家事こそ、最高の夏の学び
言葉5【親子へ】:どこか遠くより、一緒にいる時間

どの言葉にも共通するのは、「させる」のではなく「ある」を選ぶこと。完璧主義を疑うこと。日常に豊かさはすべて揃っていること。気になった言葉から、ひとつだけ、心に留めてみてください。


「何かさせなきゃ」を手放す夏に

5つの言葉を贈りました。

この夏、いちばん大切にしてほしいのは、たったひとつ。
「何かさせなきゃ」を、手放すこと。

あちこち出かけなくていいのです。
ドリルが全部終わらなくても、いいのです。

家族と、そして自分自身と、ゆっくり過ごす。
その「何でもない時間」の中に、子どもが育つ栄養も、家族の絆も、ちゃんと詰まっています。

どうか、肩の力を抜いて。
あなたとお子さんにとって、心に残る夏になりますように。


合わせて読みたい:梅雨でも心は晴れやかに

梅雨時期にも、同じテーマで「親のセルフケア」をまとめた記事を公開しています。
こちらは「やめる勇気」を切り口にした、親自身への5つの工夫です。
夏休み前の今の季節と相性が良いので、合わせて読んでいただけると嬉しいです。

→ 梅雨でも心は晴れやかに。モンテッソーリ式「やめる勇気」5つの工夫
https://kachitabi.com/blogs/ニュース/5_montessori-rainy-season-self-care-5tips


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