寝かしつけの声かけ5選|「もう寝なさい!」を卒業して子どもが自然に眠る夜を作る方法
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夜、子どもに「もう寝なさい!」と、一体何回言ったでしょうか。
「早く寝なさい!」
「いい加減にして!」
「明日起きられないよ!」
言った直後の自己嫌悪、寝顔を見ながらの後悔。
子育て中の親にとって、夜は1日でいちばん感情が揺れる時間帯です。
実は、ある調査では、保育士の87.3%が「寝かしつけで困った経験がある」と答えています(ほいくis 調査)。
プロのみなさんでも、9割近くが苦戦しているのが寝かしつけです。
この記事では、モンテッソーリ教育の視点から「もう寝なさい!」の代わりに使える5つの声かけを紹介します。
すべて、3歳から取り入れられるものです。
気になったものを、ひとつだけでも今夜から試してみてください。
なぜ「もう寝なさい!」は逆効果なのか
5つの声かけに入る前に、「もう寝なさい!」がなぜ逆効果なのか、モンテッソーリ的な視点で3つの理由を整理します。
理由1 自律神経の壁
人が眠りに入るには、副交感神経が優位の状態が必要です。
リラックスしていないと、人の体は眠れない仕組みになっています。
「もう寝なさい!」と大声で命令されると、子どもの交感神経が刺激され、心拍が上がり、目が冴えます。
「叱られたのに、なぜか余計に元気になる」のは、お子さんの問題ではなく、叱られた人間の体が自然に反応した結果です。
理由2 3〜6歳は「秩序の敏感期」の真っ最中
モンテッソーリ教育では、3〜6歳の子どもには「秩序の敏感期」と呼ばれる時期があるとされています。
これは、順番・場所・習慣にこだわる時期です。
寝る前のルーティン(絵本を2冊読む、ぬいぐるみに「おやすみ」を言う等)を勝手に省略すると、大泣きしてしまう時期でもあります。
裏を返せば、「いつも通りの順番」は、子どもにとって最大の安心の源です。
理由3 大人と子どもは時間軸が違う
大人にとって、寝る前のトイレや絵本や「お水ちょうだい」は、寝るまでの障害物に見えます。
ところが、子どもにとっては、それぞれが「目的のある活動」です。
絵本を選ぶ、トイレに行く、水を一口飲む。
これら全部、子どもの中では1日の大切な締めくくりです。
マリア・モンテッソーリも「子どもを大人の都合で必要以上に眠らせるべきではない」という趣旨の言葉を残しています。
「もう寝なさい!」は、この3つを同時に踏み抜いている声かけと言えます。
お風呂上がりに 「パジャマと歯磨き、どっちにする?」
お風呂を出たあと、子どもがリビングではしゃぎ始める。
よくある場面です。
❌ NGな声かけ:「もう寝る時間だから早くパジャマ着て!」
⭕ OKな声かけ:「お風呂上がってサッパリしたね。次はパジャマと歯磨き、どっちにする?」
選択肢を2つに絞って、子どもに選ばせる。
「自分で決めた」という小さな主体感が、抵抗を和らげます。
「選ばせると甘やかしになりそう」と心配する声もよく聞きますが、大人が用意した2つの選択肢の中から選ばせている限り、コントロールは親の側にあります。
それでも、はしゃぎが止まらない日はあります。
そんな日は無理にやめさせようとせず、「今日は元気が余っている日なんだ」と眺めるくらいの余裕で十分です。
寝室への移動 「今日のおやすみの絵本、どれにする?」
歯磨きが終わってもリビングから離れない子。
「もう寝る時間だよ!」が口癖になっている家庭は多いと思います。
❌ NGな声かけ:「もう寝る時間だよ!早く寝室に来なさい!」
⭕ OKな声かけ:「今日のおやすみの絵本、どれにする?選んだら一緒に寝室行こう」
モンテッソーリ的には、寝室を「楽しいことが始まる場所」とフレーミングするのが効きます。
絵本を選ぶ、という小さな主体的な行動を入れる。
秩序の敏感期の子は、毎晩同じ問いかけがそのまま「寝るスイッチ」になっていきます。
ここで気をつけたいのは、絵本の冊数を事前に決めておくこと。
「今日は3冊まで」「2冊まで」と最初に決めて、「もう1冊」「もう1冊」のループにはまらないようにします。
布団に入った直後 「おててさん、今日いっぱい遊んだね」
布団に入ったのに、まだ動き回る。
枕を投げる。
子どもサイズの「布団トンネルごっこ」が始まる。
❌ NGな声かけ:「動かないで!じっとしてなさい!」
⭕ OKな声かけ:「お布団あったかいね。今日のおててさん、いっぱい遊んだね」
そう言いながら、子どもの手を優しくさする。
終わったら、足、おなか、と部位を変えていきます。
「今日いっぱい〇〇したね、ありがとう」と各部位に語りかけることで、子どもの注意が「自分の体」に向きます。
タッチケアの効果で副交感神経が優位になり、自然と眠気が訪れる仕組みです。
このとき、親の声は小さく、低く、ゆっくりが鉄則。
親が興奮していると、子どもも興奮します。
手の温かさは、睡眠導入の優しいスイッチになります。
興奮しているとき 「今日のうれしかったこと、教えて?」
寝る直前なのに、子どもがやたらと元気な日があります。
テンションが上がりっぱなしで、布団に入っても歌い出す。
❌ NGな声かけ:「興奮してないで早く寝なさい!」
⭕ OKな声かけ:「楽しい気持ちだね。今日のうれしかったこと、ひとつだけ教えて?」
感情をまず受け止める。
その後、1日を振り返る方向に意識を向けてもらいます。
過去を振り返ると、人の意識は自然と「今」から離れていきます。
興奮していた気持ちが、思い出を語る穏やかな気持ちに変わっていきます。
きょうだいがいる家庭では、交代で「今日のいいこと」を話していくうちに、先に話した子が眠ってしまうという夜もよく聞きます。
グズり 「眠れないのつらいね。ママ(パパ)はここにいるよ」
「眠くないのに眠らないといけない」つらさは、大人もたまに経験するもの。
子どもが「眠れない」と訴えてグズり始めたとき、つい返してしまうのが「もう、いい加減にして!」「明日起きられないよ!」です。
❌ NGな声かけ:「もう、いい加減にして!明日起きられないよ!」
⭕ OKな声かけ:「眠れないのつらいね。ママ(パパ)はここにいるよ。お目めだけ閉じてみようか」
これはアメリカのモンテッソーリ系の指導でも使われる、安心フレーズの日本語版です。
元の英語は "You're safe, and I'm right nearby"(あなたは安全、そばにいるからね)。
親のゴールを「寝かす」から「安心して眠れる状態を作る」に切り替える。
子どもは、安心するとちゃんと眠ります。
寝かしつけは、子どもを眠らせる行為ではなく、子どもが眠るための環境を作る行為。そう捉え直すと、親のストレスもすこし軽くなります。
5つに共通する原則
5つの声かけには、共通する3つの原則があります。
原則1:命令ではなく、選択肢で誘う
原則2:感情をまず受け止めてから次に進む
原則3:親のゴールを「寝かす」から「安心の場を作る」に切り替える
この3つを意識するだけで、夜の声かけのバリエーションは無限に増えていきます。
モンテッソーリ式の夜を支える「環境づくり」
5つの声かけと並んで、もうひとつ大切なのが、寝室の環境を整えることです。
照明
寝る1時間前から、暖色・低照度の間接照明に切り替える(シーリングライトの白色光はメラトニン分泌を抑える)
デバイス
テレビ・スマホ・タブレットは寝室から物理的に離す(寝る2時間前から触らないのが理想)
おもちゃ
寝室には置かない、または布で覆って視覚から消す
本
寝る前に読む数冊だけを、子どもの手の届く場所に
入眠儀式の順番
お風呂 → パジャマ → 水 → 歯磨き → トイレ → 絵本 → 子守唄 → おやすみ、と毎晩同じ順番に
すべてを揃える必要はありません。
気になったところから、ひとつだけ取り入れてみる、で充分です。
そしてもうひとつ。
夜にぐっすり眠れる子は、たいてい日中に集中して活動できている子です。
日中の運動・感覚・指先の活動が満たされていると、夜の入眠もスムーズになります。
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まとめ 5つのNG/OK声かけ一覧
| シーン | ❌ NG声かけ | ⭕ OK声かけ |
|---|---|---|
| お風呂上がり | もう寝る時間だから早くパジャマ着て! | パジャマと歯磨き、どっちにする? |
| 寝室への移動 | もう寝る時間だよ! | 今日のおやすみの絵本、どれにする? |
| 布団に入った直後 | 動かないで! | お布団あったかいね。今日のおててさん、いっぱい遊んだね |
| 興奮しているとき | 興奮してないで早く寝なさい! | 楽しい気持ちだね。今日のうれしかったこと、ひとつだけ教えて? |
| グズり | もう、いい加減にして! | 眠れないのつらいね。ママ(パパ)はここにいるよ |
完璧な夜を目指さなくていい
最後に、いちばん大切なことを書きます。
冒頭でも触れたように、調査ではプロの保育士の87.3%が、寝かしつけで困った経験を持っています。
9割近くの専門家が苦戦している分野で、毎晩100点満点を目指す必要はありません。
「正しい寝かしつけ」というものは、たぶん存在しません。
あるのは、あなたとあなたのお子さんに合う寝かしつけだけです。
できなかった日があっても、明日また仕切り直せばいい。
1週間トータルで子どもがちゃんと眠れていたら、それで充分です。
「寝かしつけている途中で、親の方が先に寝てしまった」夜があっても、それは失敗ではありません。
親がリラックスしていた証拠です。
子どもにとっては、それが最大の安心になっている可能性すらあります。
今夜から、5つの声かけのうちひとつだけ、試してみてください。
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