子どもが失敗したときの声かけ5選|「もう!何やってるの!」を卒業して学びに変える
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「もう!何やってるの!」
「だから言ったでしょ!」
「気をつけなさいって何度も言ったよね?」
子どもが失敗するたび、こんな言葉が口をついて出てしまうこと、ありませんか。
モンテッソーリ教育では、子どもの失敗を「叱る材料」ではなく「学びの材料」として大切に扱います。
失敗の瞬間に親がどう関わるかで、子どもが「失敗を恐れる子」になるか「失敗から学べる子」になるかが大きく変わります。
この記事では、在仏日本国大使館に勤務した3年間に、フランスの「L'Institut Supérieur Maria Montessori」でモンテッソーリ教育を学び、現在は木製知育玩具ストア「かち旅」を運営する筆者が、子どもが失敗したときに使える5つの声かけを、シーン別に解説します。
読み終える頃には、失敗の瞬間に「カッ」となる気持ちを、ひと呼吸おいて言葉に変える手がかりが得られるはずです。
「失敗したときの声かけ」が大事な理由
モンテッソーリ教育の創始者マリア・モンテッソーリは、子どもの失敗を「成長のチャンス」と捉えました。
子どもは失敗を通じて、物の重さを覚え、力加減を学び、次にどうすれば良いかを考えます。
つまり、失敗は、教科書では教えられない「体で覚える学び」の貴重な瞬間なのです。
ところが、その瞬間に親が「もう!何やってるの!」と叱ると、子どもの脳内では別の学習が起きます。
それは「失敗は悪いこと」「失敗すると怒られる」という学習です。
これが繰り返されると、子どもは少しずつ「失敗を避ける子」になっていきます。
新しいことに挑戦せず、できることしかやらず、間違えそうな場面では黙ってしまう。
これは、失敗そのものよりはるかに大きな損失です。
失敗を「叱る材料」から「学びの材料」へ。
この一歩を踏み出すだけで、子どもの未来が変わります。
子どもが失敗したときの声かけ5選
①失敗そのものを叱らない
シーン 牛乳をこぼした、コップを倒した、玩具を落として壊した
NG例 「もう!何やってるの!」「だから気をつけなさいって言ったでしょ!」
OK例 「あら、こぼれちゃったね」「割れちゃったね」
失敗の瞬間、まず大切なのは「事実」と「子どもの人格」を分けることです。
「もう!何やってるの!」は、失敗を子どもの人格に結びつけてしまう言葉です。これを言われ続けた子どもは、「自分はダメな子だ」と感じるようになります。
一方、「あら、こぼれちゃったね」は、起きた事実だけを口にする言葉。子どもは「自分が悪い」ではなく「ミルクがこぼれた」という事実だけを受け取ります。これが、失敗を冷静に見つめる力の土台になります。
②「だから言ったでしょ」を封印する
シーン 事前に注意したことを子どもが忘れて失敗した
NG例 「だから言ったでしょ!何度言ったらわかるの!」
OK例 「今度から、どうしたらうまくいくか考えてみようか」
「だから言ったでしょ」は、子どもにとって「自分は信頼されていない」「自分は学習能力がない」というメッセージとして届きます。
しかも、このフレーズには未来に向けた手がかりが何もありません。
子どもは「叱られた」という記憶だけを持ち、「次はどうすればいいか」を学べないまま終わります。
「今度から、どうしたらうまくいくか考えてみようか」は、失敗を考える材料に変える魔法のフレーズです。
子どもは「失敗は悪いことではなく、考えるきっかけ」と理解するようになります。
③手伝う前に、自分で対処する時間を与える
シーン 子どもがミルクをこぼした、おもちゃを散らかした
NG例 「もういいから、ママが拭くから!」
OK例 黙って待つ。雑巾だけ近くに置く
親が先回りして片付けてしまうと、子どもは「自分が起こしたことを、自分で立て直す」という大切な経験を失います。
モンテッソーリ教育では、これを「自分で立て直す力(自己回復力)」と呼び、最も大切な力のひとつとして扱います。
少し時間がかかっても、雑巾だけそっと差し出して見守る。
子どもが「自分で拭けた」「自分で片付けられた」という体験を一度でも持つと、次の失敗への向き合い方が変わります。
時間がない朝は難しいかもしれません。
でも、週に一度でも「自分で立て直す時間」を渡せれば十分です。
④失敗の感情を言葉にする手伝いをする
シーン 子どもが失敗して泣いている、悔しがっている
NG例 「泣かないの!大したことじゃないでしょ!」
OK例 「悔しかったね」「うまくいかなくて悲しいね」
失敗したときに湧き上がる「悔しい」「悲しい」「恥ずかしい」という感情は、子どもにとって人生で初めて経験するものかもしれません。
その感情を「大したことじゃない」と否定されると、子どもは自分の感情を信じられなくなります。
やがて、「感情にフタをする子」になっていきます。
「悔しかったね」と感情を言葉にしてあげるだけで、子どもは「自分の気持ちには名前があるんだ」と気づきます。
これは生涯使える、感情と付き合うための基礎スキルです。
感情を整理できる子は、大人になってからの人間関係も、自分自身との対話も、ずっと豊かになります。
⑤失敗を学びに変える「次は何ができるか」の問いかけ
シーン 失敗が落ち着いた後の振り返り
NG例 「もうこんなこと二度としないでね」
OK例 「次は、どうしたらうまくいくかな?」
失敗の最後の場面で、未来に視線を向ける問いかけをすることで、失敗は「終わり」ではなく「学びのスタート」に変わります。
「二度としないでね」は、失敗を「禁止事項」として子どもの中に刻み込みます。
子どもは挑戦を恐れるようになります。
「次は、どうしたらうまくいくかな?」は、子ども自身に考える時間を渡す言葉です。
答えがすぐ出なくても構いません。
一緒に考える時間そのものが、子どもにとっての学びになります。
このフレーズを習慣にできた家庭は、子どもが大きくなってからも「失敗を一緒に振り返る関係性」を保ち続けることができます。
5つに共通する、たった1つの原則
5つすべてに共通する原則は、ひとつだけです。
失敗は、子どもが自分で学ぶための贈り物。
子どもの失敗の瞬間に親がどう振る舞うかで、子どもの「失敗との付き合い方」は一生変わります。
最初は、つい「もう!」と言いたくなるかもしれません。
それは自然な反応です。
でも、5つのうちひとつでも試してみると、子どもの目の輝きが少しずつ変わっていくのを感じられるはずです。
モンテッソーリ式の「失敗との付き合い方」を支える環境づくり
ここまで「失敗したとき」の声かけについて解説してきましたが、もうひとつ大切な視点があります。
それは、子どもが「安心して失敗できる環境を整えること」です。
実は、子どもが失敗を恐れるようになる原因の多くは、家庭の中に「失敗してもいい場所」が少ないことにあります。
割れやすい食器、子どもの手が届かないようにしまわれた道具、大人が完璧に整えた空間。
これらは「失敗を許さない環境」として、無意識のうちに子どもに「失敗してはいけない」というメッセージを送り続けます。
モンテッソーリ教育では、子ども専用の「自分で扱える道具」を用意します。
子どもサイズの食器、自分で運べる重さのトレイ、自分で片付けられる場所にある教具。
失敗が起きても自分で対処できるサイズに整えることで、子どもは「失敗しても大丈夫」と体で学んでいきます。
そのために重要なのが、年齢と発達段階に合った木製知育玩具を家庭に取り入れること。
かち旅では、在仏日本国大使館勤務時代にモンテッソーリ教育を学んだ筆者が、子どもの「自分でできた!」を引き出す木製知育玩具を厳選してお届けしています。
一番人気の「まなびの森パズル」は、3歳以上のお子さまが「うまくいかない瞬間」を何度も体験しながら「自分で考えて完成させる」力を育てる教具として、多くのご家庭から喜びの声をいただいています。
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まとめ:子どもが失敗したときの声かけ5原則
| # | シーン | NG | OK |
|---|---|---|---|
| ① | 失敗の瞬間 | 「もう!何やってるの!」 | 「あら、こぼれちゃったね」 |
| ② | 事前に注意していたこと | 「だから言ったでしょ!」 | 「次は、どうしたらうまくいくか考えてみようか」 |
| ③ | 子どもが立ち往生している | 「ママが拭くから!」 | 黙って待つ。雑巾だけ近くに置く |
| ④ | 子どもが泣いている | 「泣かないの!」 | 「悔しかったね」「悲しいね」 |
| ⑤ | 失敗が落ち着いた後 | 「二度としないでね」 | 「次は、どうしたらうまくいくかな?」 |
声かけシリーズ完結。5本の記事を一気に読むなら
この記事は、モンテッソーリ式声かけシリーズの完結編です。
5本を通じて伝えたかったのは、「子どもを変えるのではなく、親の関わり方を変える」ということ。
シリーズ全5本
【モンテッソーリ式】子どもの褒め方5選【モンテッソーリ式】子どもがぐずる時の声かけ5選【モンテッソーリ式】子どもが失敗したときの声かけ5選(本記事)【モンテッソーリ式】子どもが集中している時の声かけ5選- 【モンテッソーリ式】子どものやる気を引き出す声かけ5選
シーン別「声かけ50選」を、まとめてお手元に
この5本のシリーズで紹介した25の声かけは、家庭で使えるモンテッソーリ式声かけ全50通りの一部です。
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「声かけは意識できそうだけど、家にある教具やおもちゃが、本当にやる気を引き出せるものか不安……」
そんな方は、まずは1つ、モンテッソーリ的に設計された知育玩具を取り入れてみてください。
子どもが自分から「やってみたい!」と手を伸ばす瞬間が、声かけだけでは作れない、確かな手応えになります。
著者プロフィール
著者:ぐっち
元国家公務員(教育職)。在仏日本国大使館に勤務した3年間に、フランスの「L'Institut Supérieur Maria Montessori」でモンテッソーリ教育を学ぶ。帰国後、木製知育玩具ストア「かち旅」を立ち上げ、モンテッソーリ教育の理念を家庭に届ける活動を行っている。双子の父。