子どものやる気を引き出す声かけ5選|「やる気出して!」を卒業して内側から育てる
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「やる気出して!」
「なんでやらないの?」
「もう年長さんなのに、できないの?」
子どもにそう言うほど、やる気がしぼんでいくのを感じたことはありませんか。
モンテッソーリ教育では、子どもの「やる気」を外から押し込むものではなく、内側から自然に湧き上がるものとして大切に扱います。
この記事では、在仏日本国大使館に勤務した3年間に、フランスの「L'Institut Supérieur Maria Montessori」でモンテッソーリ教育を学び、現在は木製知育玩具ストア「かち旅」を運営する筆者が、3〜6歳の子どものやる気を引き出す5つの声かけを、シーン別に解説します。
声かけシリーズの完結編として、これまでの「褒め方」「ぐずったとき」「失敗したとき」「集中しているとき」を支える、もっとも大切な姿勢をお届けします。
なぜ「やる気出して!」は逆効果なのか
モンテッソーリ教育の創始者マリア・モンテッソーリは、子どもの「やる気」を「外から与えるものではなく、内側から芽吹くもの」として尊重しました。
つまり、親が「やる気出して!」と声をかけた瞬間、子どもの脳内では「自分は今、やる気のない状態だと認定された」と感じてしまうのです。
励ますつもりが、逆に「やる気のない自分」を確定させてしまう。
これが、声かけが裏目に出る最大の理由です。
子どものやる気が自然に湧くには、3つの条件があります。
- 自己決定:自分で選べること
- 達成可能性:小さな一歩から始められること
- 個別尊重:誰とも比較されないこと
この3つを大人が用意できれば、子どものやる気は勝手に芽を出します。
逆に、ひとつでも欠けると、やる気は静かに引っ込んでいきます。
子どものやる気を引き出す声かけ5選
①「ヤダ!」と言われたとき
シーン: お風呂・お片付け・着替えなど、何をするにも「ヤダ!」と返ってくる
NG例: 「ダメよ、やりなさい!」「じゃあもうやらなくていい!」
OK例: 「そっか、ヤダなんだね」「じゃあ、何ならできそう?」
「ヤダ!」は単なる反抗ではなく、子どものSOSです。
まずは感情を受け止めることが先。その後、「何ならできそう?」と問いかけることで、子どもに自己決定の余白を渡します。
「やりなさい!」と命令されると、子どもは「やらされている」と感じてやる気を失います。
逆に「自分で選んだ」と感じられた瞬間、やる気は静かに動き出します。
②「できない…」と言ったとき
シーン: 折り紙・着替え・お絵かきなどで「できない」とつぶやく
NG例: 「できるよ、簡単だから!」「もう年長さんでしょ?」
OK例: 「どこまでならできそう?」「最初の1つだけ、一緒にやってみる?」
「できない」と口にする子どもは、能力がないのではなく、全部やり遂げる気力がない状態です。
「簡単だから」と励ますのは、子どもの「難しい」という感覚を否定することになり、よけいにやる気を奪います。
小さな一歩を共に見つけてあげると、その一歩がやる気の燃料になります。
「最初の1つだけ」は、モンテッソーリ式の魔法のフレーズです。
③ 取り組み始めたら、口を出さない
シーン: 子どもが何かを始めた直後
NG例: 「もっとこうしたら?」「あ、そこ違うよ」
OK例: 黙って見守る。子どもが「見て!」と言ったら反応する
子どもがいったん取り組み始めたら、大人の役割は「口を出さない」こと。
集中している子どもの脳内では、重要なシナプス接続が起きています。
「もっとこうしたら?」の一言で、その回路が一瞬で途切れてしまいます。
「見守られている安心感」こそが、やる気を持続させる最大のエネルギー源です。
口を出したくなったら、深呼吸して10秒待つ。
これだけで、子どものやる気の質が変わります。
※集中している時間の扱い方は、前回記事「集中しているとき5選」で詳しく解説しています。
④ 比較しない
シーン: 兄弟・お友達・過去の自分と比べたくなる瞬間
NG例: 「お兄ちゃんはできたのに」「○○ちゃんはもうできるんだって」
OK例: 「あなたのペースで大丈夫」「昨日のあなたより、今日は1歩進んでるね」
比較は、やる気を最も奪う声かけです。
特に他人との比較は、子どもの中に「自分はダメだ」という思いを育ててしまいます。
ただし、過去の自分との比較は、やる気を引き出す方向に働きます。
「昨日より上手になったね」「先週はできなかったことが、今日できたね」
こうした言葉は、子どもに「成長している実感」を与え、次の一歩への原動力になります。
⑤「自分でできた」瞬間を共有する
シーン: 子どもが何かをやり遂げた瞬間
NG例: 「すごい!天才!」「えらい!パパ嬉しい!」
OK例: 「自分でできたね」「○○ちゃんは、どう感じた?」
シリーズ第1弾「褒め方5選」でもお伝えしましたが、外からの評価は子どものやる気を外発的動機に変えてしまいます。
代わりに「自分でできたね」と事実を返し、「どう感じた?」と内省を促す。
これにより、子どもは自分の中の達成感に気づき、それが内側から湧き上がる本物の自信になります。
「パパ嬉しい!」ではなく「あなたは、どう感じた?」
この主語の切り替えが、シリーズ全体を貫く最大の技術です。
5つに共通する、たった1つの原則
5つすべてに共通する原則は、ひとつだけです。
子どものやる気は、子どもの中にある。親の役割は、それを育てる環境を整えること。
親は「評価者」ではなく、ファシリテーターです。
やる気を作る人ではなく、やる気が湧く土壌を耕す人。
この立ち位置の転換ができた瞬間、子育ての景色が一変します。
モンテッソーリ式の「やる気」を支える環境づくり
ここまで「やる気を引き出すとき」の声かけについて解説してきましたが、もうひとつ大切な視点があります。
それは、子どもが自分から「やってみたい」と思える環境を整えることです。
子どもがやる気を出さない原因の多くは、性格や能力ではなく、「やってみたくなる対象」が家庭に少ないこと。
おもちゃが派手に動いて子どもを受動的にさせるものばかりだと、子どもは「自分で動かす楽しさ」を体験できません。
モンテッソーリ教育では、年齢と発達段階に合った教具を、子どもが自分で選び・自分で取り組み・自分で片付けられるように配置します。
これにより、子どもは「自分でできた!」という達成感を繰り返し体験し、やる気の循環が生まれます。
そのために重要なのが、年齢と発達段階に合った木製知育玩具を家庭に取り入れること。
かち旅では、在仏日本国大使館勤務時代にモンテッソーリ教育を学んだ筆者が、子どもの「自分でできた!」を引き出す木製知育玩具を厳選してお届けしています。
中でも一番人気の「まなびの森パズル」は、3歳以上のお子さまが「自分で考え、自分で完成させる」体験を繰り返せる教具として、多くのご家庭から喜びの声をいただいています。
まとめ:子どものやる気を引き出す声かけ5原則
| # | シーン | NG | OK |
|---|---|---|---|
| ① | 「ヤダ!」と言われた | 「ダメよ、やりなさい!」 | 「そっか、ヤダなんだね」「何ならできそう?」 |
| ② | 「できない…」と言った | 「簡単だから!」 | 「最初の1つだけ、一緒にやってみる?」 |
| ③ | 取り組み始めた | 「もっとこうしたら?」 | 黙って見守る |
| ④ | 比較したくなる瞬間 | 「お兄ちゃんはできたのに」 | 「昨日のあなたより、今日は1歩進んでるね」 |
| ⑤ | やり遂げた瞬間 | 「すごい!天才!」 | 「自分でできたね」「どう感じた?」 |
声かけシリーズ完結。5本の記事を一気に読むなら
この記事は、モンテッソーリ式声かけシリーズの完結編です。
5本を通じて伝えたかったのは、「子どもを変えるのではなく、親の関わり方を変える」ということ。
シリーズ全5本
【モンテッソーリ式】子どもの褒め方5選【モンテッソーリ式】子どもがぐずる時の声かけ5選【モンテッソーリ式】子どもが失敗したときの声かけ5選【モンテッソーリ式】子どもが集中している時の声かけ5選- 【モンテッソーリ式】子どものやる気を引き出す声かけ5選(本記事)
シーン別「声かけ50選」を、まとめてお手元に
この5本のシリーズで紹介した25の声かけは、家庭で使えるモンテッソーリ式声かけ全50通りの一部です。
「赤ちゃん返り」「兄弟げんか」「習い事を嫌がるとき」「人見知り」など、子育てのあらゆるシーンに対応した声かけ集を、かち旅のLINE公式アカウントで無料配布中です。
モンテッソーリ式の「やる気」を、家庭から始めるなら
「声かけは意識できそうだけど、家にある教具やおもちゃが、本当にやる気を引き出せるものか不安……」
そんな方は、まずは1つ、モンテッソーリ的に設計された知育玩具を取り入れてみてください。
子どもが自分から「やってみたい!」と手を伸ばす瞬間が、声かけだけでは作れない、確かな手応えになります。
著者プロフィール
著者:ぐっち
元国家公務員(教育職)。在仏日本国大使館に勤務した3年間に、フランスの「L'Institut Supérieur Maria Montessori」でモンテッソーリ教育を学ぶ。帰国後、木製知育玩具ストア「かち旅」を立ち上げ、モンテッソーリ教育の理念を家庭に届ける活動を行っている。双子の父。